起業を行う際、法人として新たに会社を設立することを考えている方も多いのではないでしょうか?法人の経営者になることができれば、社会的な信用度が上昇し、起業してからのよいスタートダッシュになります。しかし、法人化を行うにあたり、法人登記方法が分からず、困っている方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、起業するにあたり法人登記する際に必要な法人登記する際の方法及び住所について解説します。法人登記を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
まず初めに起業をする際の本店所在地としての登記住所について解説します。
法人登記する場合は、所有している自宅やマンション、登記が認められている賃貸契約所在地であれば、基本的に何処でも登記することが可能で、商業登記法上も登記の住所に関する制限は記載されておりません。また、登記をする本店所在地と、実際に業務を行っている場所が同じである必要もありません。マンションや団地の集合住宅地の場合は、郵便物が届かない可能性があるため、本店所在地は少なくとも番地まで記載する必要があります。なお銀行などからの融資や助成金を考えている方は、登記の際に登録する住所が社会的信用に影響を与えますので、登記時の住所選びはしっかりと考えましょう。
『同一本店、同一商号の禁止』という規制があるため、会社名と住所は重複してはいけません。この規制は登記する会社名と住所が全く同じ場合は、登記できないというルールに沿ったものです。対策方法として、契約する前にその住所で既に登記されている会社があるかどうか、確認しておく必要があります。
登記後に住所変更を行いたい場合は、手数料などを合わせると、10万円ほどの費用がかかります。住所を好きに登録できるとはいえ、できる限り住所変更をする可能性が低く、かつ利便性の高い住所を登録するように考慮しておくことが重要です。
ここでは、株式会社設立の場合の法人登記の流れや手順について解説します。
商号や概要を決めます。注意するべき点は、同じ住所に同じ商号がある場合は登記できませんので、事前に法務局で類似した商号がないかをチェックしておきましょう。
会社代表の印鑑は、法人登記の際に必要となるため、会社名が決まった後には印鑑を作成しましょう。
定款とは、会社の基本的な規則を定めた書類のことを指します。作成した定款は、認証を受ける必要があるので、登記する住所と同じ都道府県にある公証人役場へ行き、認証をしてもらう必要があります。
なお、定款の認証には、以下の費用がかかりますので、あらかじめ準備してから行うようにしましょう。
①定款認証手数料:5万円
②印紙代:4万円
③謄本交付料:1枚250円×枚数
定款で定めた資本金の払い込みを行い、その払い込み後の証明書を作成します。資本金はいくらでも設定可能ですが、1000万以上になると、設立初年度の消費税免除が受けられないため、金額は事前によく考えてから資本金の設定をするようにしましょう。
資本金の払い込みが終わり証明書の作成が完了したら、次は登記書類の作成を行います。書類作成に必要なものは、以下の通りです。
1.登記申請書
2.定款
3.登録免許税の収入印紙を貼り付けたA4用紙
4.発起人の決定書
5.取締役就任承諾書
6.監査役就任承諾書
7.代表取締役就任承諾書
8.資本金払い込み証明書
9.取締役印鑑証明書
10.印鑑届出書
11.登記すべきことを保存したデータ
上記の必要書類が揃ったら、法人登記の申請が可能になります。申請は登記に記載している本社住所を管轄する法務局で行えますので、事前に管轄している法務局を調べておきましょう。法人登記申請が通ったら、会社設立は完了です。完了次第、会社銀行口座の開設や助成金の申請も可能となります。
ここでは法人設立登記の方法について解説します。
専門家に申請依頼するメリットは下記のような点が挙げられます。
①慣れない手続きに無駄な時間と労力を使う必要がない
②専門家が責任を持ってチェックするので、安心できる
③電子定款で公証役場へ提出するので、上記で解説している印紙代の4万円を支払う必要がなくなる
専門家に申請依頼する場合のデメリットは下記のような点が挙げられます。
①依頼料がかかる
②会社の顧問契約を要求される可能性がある
専門家に依頼することは、費用がかかるものの、時間短縮につながるだけではなく、安心して法人登記を任せられます。そのため、時間がないという方や専門知識がないという方は専門に依頼するとよいでしょう。
個人で申請をする場合のメリットは下記のような点が挙げられます。
①会社設立の手順が自分で把握できる
②会社設立の経験ができる
③依頼する分の費用を安く抑えることができる
個人で申請をする場合のデメリットは下記のような点が挙げられます。
①手続き方法によっては、さらに費用がかかってしまう可能性もある
②慣れない手続きに無駄な時間と労力を消費してしまう
個人で申請をすることは、費用を抑えられる一方で、時間と労力がかかってしまうため、時間と労力をかけたくないという方は、専門家に依頼することも選択肢のひとつです。
以下では、登記できる場所について解説します。
法人登記する際に、自宅で登録する方も多くいます。ここでは、登記住所を自宅に設定するメリットやデメリットについて、解説します。
まず、自宅で法人登記をするメリットについて解説します。
会社設立当初は、オフィス契約や家賃の支払いといった諸経費は、大きな出費と言えます。
しかし、自宅をオフィスとして登記することによって、これらの諸経費を抑えられるため大きなメリットといえるでしょう。
自宅を法人登記することで、自宅の家賃や自宅で使う光熱費の一部を、経費として計上できるメリットがあります。また、自宅の家賃や自宅で使う光熱費の一部を、経費として計上する際には、個人として利用するものは家事按分という計算方法を利用する必要があります。
ここでは、自宅で法人登記をするデメリットを解説します。
会社の住所は、ホームページや名刺に記載して、公開するのが一般的です。この際、あからさまに自宅と分かるような住所が記載されていると、プライバシー面や防犯面で、不安やトラブルが生じてしまいます。例えば飛び込み営業をしているような企業から訪問があった際、一緒に住んでいる家族などにも影響が生じてしまいます。プライベートと仕事を分けたい方には、自宅を登記することは、おすすめできないポイントといえるでしょう。
自宅をオフィスに指定している場合、商談などを行うため、住居スペース以外に応接間などのスペースを用意することが想定されます。このため自宅をオフィスに適した形態にリフォームするか、オフィスを移動しない限り、ビジネスに広がりを出すことは、難しい要因になる可能性もあります。
自宅をオフィスに指定することによって、経費を節約することが可能ですが、逆にこれは会社にお金がないと、外部に判断される危険性があります。これにより、社会的な信用を重視する企業と取引関係を結べない可能性があります。
ここでは自宅を法人登記をする場合の注意点について、以下に解説していきます。
賃貸マンションの場合、賃貸借契約書に『住居用として使用』や『オフィス用途は不可』などの文面が記載されていることが多いです。この文言が入っている物件は、登記したり登記先住所として使用すると、賃貸借契約違反になってしまいます。
登記先住所として使っていることが発覚した場合、物件オーナーとトラブルの原因となってしまう可能性があります。また住居用で登記した物件に、住民が勝手に登記を行ってオフィスとして使用した場合は、オーナー側が登記を黙認し脱税していると判断されて更に迷惑をかけてしまう可能性があるため、必ず登記前に賃貸借契約を確認しましょう。
自己所有のマンションに住んでいる場合だったとしても、マンション管理規約に『主として居住用として使用する』という文言が、記載されていることが多いです。この文言が記載されているマンションに、登記したり登記先住所として使用すると、管理規約違反になってしまいます。登記先住所として使っていることが発覚した場合、マンション管理組合とトラブルになってしまうため最悪の場合、自己所有のマンションでも追い出されてしまうこともあるので注意しましょう。
住宅ローン減税は、住居用の土地や建物だけを対象とした制度です。もちろん、オフィス使用の土地や建物については、住宅ローン減税の対象外となります。住宅ローンの契約には、『住居用でなくなった場合には、この利益を喪失する』と記載されていることが多いので確認が必要です。住宅ローン契約に記載されているにもかかわらず、登記先住所として使用すると、オフィス用に運用されたと判断され契約違反になってしまい、住宅ローン減税が受けられなくなってしまう原因になります
許認可によっては、住居スペースとはっきり区分けしたオフィス空間を確保することが要求されたり、玄関に商号を掲示することを要求されたりします。
また、賃貸借契約に『住居用』と記載されている場合は、賃貸借契約違反になってしまうため注意しましょう。
賃貸オフィスで法人登記をすること自体はできるものの、問題になる点は賃貸借契約を結ぶ際の名義をどのように設定するかという点です。もちろん会社利用のオフィスですので、設立予定の会社名義で契約したいところですが、法人登記が完了していない法人名義では契約することができません。解決方法としては、とりあえず個人名義でオフィスを契約し、無事に法人登記が完了した後に、会社名に名義変更するという方法です。この方法により、法人銀行口座の開設も可能となります。
ここでは賃貸オフィスで法人登記をする場合について、メリットやデメリットも含め、解説します。
賃貸オフィスで法人登記をするメリットについて以下にて解説します。
賃貸オフィスで法人登記することにより、執務スペースを設けることができるため、顧客や取引先からの信用を得やすくなり、ビジネスの拡大が見込めることが大きなメリットといえるでしょう。
賃貸オフィスで法人登記をするメリットについて以下にて解説します。
賃貸オフィスで法人登記することにより、執務スペースを設けることができるため、顧客や取引先からの信用を得やすくなり、ビジネスの拡大が見込めること・社会的信用が得られることが大きなメリットといえるでしょう。
次に賃貸オフィスで法人登記をするデメリットについて以下に解説します。
賃貸オフィスを契約することにより、初期費用が必要となります。さらに、毎月賃料を支払うというコストも発生しますので、総合的に費用がかさむことが、デメリットになるといえるでしょう。
賃貸オフィスで法人登記をする方法の場合、会社ではなく個人でオフィスを契約しなければいけないため、必然的に第三者の連帯保証人を要求されることが多い点も、デメリットといえるでしょう。そのため、賃貸オフィスを個人契約する場合は、要求されることが多いことにも注意をしながら、しっかり事前に準備することが重要です。
ここではレンタルオフィスで法人登記をするメリットやデメリットを解説します。
レンタルオフィスで法人登記をすること自体は問題ありません。しかし、全てのレンタルオフィスで法人登記が可能というわけではありませんので、契約する前にしっかり確認する必要があります。もちろん、法人登記ができれば、そのまま法人銀行口座を開設することも可能です。
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ここでは、レンタルオフィスで法人登記をするメリットを解説します。
レンタルオフィスは賃貸オフィスと違い、オフィスに必要な机や椅子といった備品や、固定電話・通信設備といったものが事前に用意されています。このようにレンタルオフィスの場合、オフィスに必要なものが揃った状態でビジネスを開始できるので、初期費用を抑えられるメリットがあります。次に紹介するバーチャルオフィスと比較すると高額になりますが、賃貸オフィスと比較する場合は、格安と言えるでしょう。
レンタルオフィスで法人登記することにより、新規の会社からの信用も得やすくなるため、他企業の経営者との交流が活発になります。多くの経営者との交流がさかんになることにより、ビジネスの拡大にも繋がるメリットもあります。
ここではレンタルオフィスで法人登記をする際のデメリットを解説します。
レンタルオフィスには他の利用者もいるため、社員を増やす場合スペースが狭くなり、早々に移転する必要が出てきてしまうデメリットがあります。また、共有で借りられる会議室なども予約制になっているところが多く、使いたい時間に使えないなど、ミーティングなどを実施するスペースの確保に困る可能性もあるでしょう。
賃貸オフィスなどと違い、レンタルオフィスの場合、サービス会社が倒産してしまうと会社に使用していた住所も突然なくなってしまうというリスクがある点についても、気をつけなければいけません。こういったリスクを避けるためにも、契約時に長く安心して借りられるサービス会社を選ぶことが重要といえるでしょう。
レンタルオフィスは、複数の企業と住所を共有することになるので、自社のオフィスとして取引先に説明する場合、誤解が発生してしまうリスクがあります。そのため、大きく社名をだしたい企業の方には、レンタルオフィスは向いていないといえるでしょう。
ここからはバーチャルオフィスで法人登記をする場合について、メリットやデメリットも含め、解説していきます。
結論からいうと、バーチャルオフィスの場合でも、法人登記をすること自体に問題はありません。そのため、法人登記ができれば、法人銀行口座も開設することができます。
ここでは、バーチャルオフィスで法人登記をするメリットについて解説します。
バーチャルオフィスで法人登記をすることにより、信用力とブランド力が高い一等地の住所を使用でき、ホームページや名詞の見栄えや会社の信用度を飛躍的に上げることが可能です。
バーチャルオフィスを使用することにより、自宅住所を公開する必要がないため、安心して本社住所として法人登記をすることが可能です。もちろん、作業自体は好きな場所で行えるため、会社の信用力や企業イメージをあげたいフリーランスの方に対しても、メリットが高いといえるでしょう。
賃貸オフィスなど実際にオフィスを借りるとなると、初期費用で何十万から何百万もかかってしまう上に、毎月の家賃などの固定費用もかかってしまいます。しかし、バーチャルオフィスの場合、初期費用が1万円以内に収まることもあり、毎月の固定費用も何千円単位で済むので、圧倒的にコストカットできるメリットがあります。先ほど紹介したレンタルオフィスと比較しても、およそ1/10程度に費用を削減できます。
実際にオフィスを借りて起業するとなると、入居審査や通信機器の開通工事・備品準備など何かと時間がかかってしまいます。しかし、バーチャルオフィスの場合、契約がスムーズにいけば1週間程度でサービスを開始できますのでスピーディに起業することが可能です。
続いてバーチャルオフィスで法人登記をするデメリットについて解説します。
バーチャルオフィスで法人登記をする際のデメリットは、実際の業務スペースや倉庫スペースがないというデメリットです。
作業を行う場所が必要な場合や、在庫の保管場所が必要な業種の方は、別途でそれらの場所を借りる必要があり、逆に毎月の費用がかかってしまう場合があります。
さきほど紹介したレンタルオフィスと同様のデメリットです。バーチャルオフィスでも、複数の企業と住所を共有することになるので、自社のオフィスとして取引先に説明する場合、誤解が発生してしまうリスクがあります。そのため、大きく社名をだしたい企業の方には、バーチャルオフィスは向いていないといえるでしょう。
事業によっては許認可の申請取得が必要となってきますが、事務所の条件などでバーチャルオフィスだと許認可の取得ができない場合があります。
例えばバーチャルオフィスで許認可が取れない可能性のある業種は以下の通りです。
・弁護士
・司法書士
・税理士
・宅地建物取引業
・有料職業紹介業
ただし、これらの許認可は、要件が緩和される場合もありますので、それぞれ管轄の行政機関窓口で事前に確認することが必要です。
バーチャルオフィスとは実際に事務所を借りることなく、格安で住所や電話番号のみをレンタルできるサービスのことです。起業すると名刺やホームページ、パンフレットなどに所在地を記載しなければなりません。そんなときに自宅住所を公開したくない方へ向けたサービスなのです。
ここまで解説してきたように、法人登記や法人口座開設までスムーズに行えれば、クライアントに対しても大きな信頼感を与えることができ、法人設立後のビジネスも順調に開始することが可能です。法人登記を考えている方は今一度、自分が想定しているビジネスにあった登記方法についてよく考慮し、ベストな形で法人登記できる様に心がけましょう。
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